キュプラは高級な再生繊維 – freeen

キュプラは高級な再生繊維

2020/06/302021/07/10

綿や麻、ポリエステルなどと比べるとマイナーな素材で、キュプラ生地のアイテムをわざわざ探して買おうとはあまり思わないかもしれません。

シルクのような光沢があり肌触りが非常にいいキュプラは高級な素材。お高めの服にもよく使われます。
お手入れや扱い方に注意が必要なので、キュプラの特徴とお手入れについてなど、ご紹介したいと思います。

キュプラは高級

キュプラは作る工程が大変なため、どうしても製造コストが高くなります。
染色もしっかりした技術がないと難しいようです。
参考記事 : 最高級裏地キュプラ(ベンベルグ)専門の綛染め | 山梨ハタオリ産地の今を伝える ハタオリマチのハタ印

コストの高いキュプラは、ポリエステルに代替されることも少なくありません。同じような肌触りと見た目で安価だからです。
キュプラの価格は普通のポリエステルの4〜5倍とも言われます。
関連記事 : ポリエステルはどんな素材?

ポリエステルに劣ってしまう部分を、しいてあげるなら「丈夫さ」です。
お高いキュプラですが、触り心地、着やすさは抜群、光沢があり見た目の印象も良い。とても優秀な素材です。

キュプラとは

キュプラは再生繊維と呼ばれる化学繊維ひとつ。
原料をそのまま使わず、化学薬品で原料を溶かして繊維にしたものを再生繊維と言います。

関連記事 : 再生繊維って何?

「キュプラ」の名前は製造法からきています。
原料を銅アンモニア液で繊維を溶かし、糸を紡いで作られます。化学の言葉で「銅アンモニアレーヨン」ともいわれます。
「銅アンモニアレーヨン」は英語で「cuprammonium rayon」。ここから「cupra」と名付けられています。

キュプラはとても細かい繊維で光沢があります。
絹に似ていて、肌触りや機能性にも優れています。そのため薄手の高級織物、スーツやコートなどの裏地に使われることも多い素材です。

ラックにかかっている複数のコート

ベンベルグは商標名

キュプラは「銅アンモニアレーヨン」のほか「ベンベルグ」とも言います。

この「ベンベルグ」というのは旭化成(株)の商標名です。
キュプラ繊維「ベンベルグ」「bemberg」サイト|旭化成株式会社 繊維事業

旭化成のキュプラ繊維の商品がベンベルグ。あくまで商品名なので洗濯・品質表示には「キュプラ」の名称が使われます。
※キュプラ(ベンベルグ)と表記されていることもあります。

キュプラの原料

キュプラの原料はコットンリンター。
コットンリンターは綿の実から綿花の綿毛をとった後、種の周りについているうぶ毛のことです。これを銅アンモニア液で溶かして糸にします。

コットンイラスト

コットンリンターは天然素材なので、土に埋めると自然分解されます。燃やしても有害ガスの発生はありません。キュプラは環境に優しい素材でもあります。

関連記事 : 天然原料 コットンリンター について

キュプラの特徴

メリット

  • 吸放湿性があり、静電気が起きにくい
  • 絹のような光沢と柔らかく、しなやかな肌触り
  • ドレープ性がある

吸湿・放湿性がいい

吸放湿性が優れていると、湿気を吸い取って吐き出してくれます。このおかげで蒸れやベタつきを抑え、さわやかな着心地に。
蒸れ感が少ないので、寝具がこの素材だと快適です。

ベッドで寝る女性

また繊維の中に水分が多く含まれるため、静電気が起きにくいです。

光沢のある見た目と肌触りの良さ

キュプラ糸は丸く細いので、柔らかくしなやかな肌触りになります。

柔らかくしなやかな肌触りは、触り心地がいいのはもちろん、肌への刺激が少ないこともメリット。滑りがいいので着脱はひっかかりがなくスムーズ。こういったことから裏地やインナーにもよく使われます。

参考記事 : 特長|ベンベルグとは|ベンベルグ|旭化成株式会社 繊維事業

ドレープ性できれいなシルエット

ドレープは、「布が自然とたるむ優美な様子」とういう意味で使われます。ゆったりと優美にまとわせるものを「ドレープ性がある」といいます。
このドレープ性があることできれいなシルエットの服が出来上がります。

デメリット(注意点)

  • 水滴によって水シミができやすい
  • 摩擦に弱い
  • 伸縮性が低く、シワになりやすい

水滴・水汚れに注意

吸水性が良いため、水を含んだ部分が膨らみます。その膨らんだ部分が光の反射によってシミのように見えてしまいます。

汚れのあるシャツ

摩擦による毛羽立ち

ビスコースレーヨンより耐久力や耐摩耗性が高いともいわれますが、それでも摩擦に強いわけではありません。摩擦によって毛羽立ちます。

このためゴシゴシ洗ったり固く絞ってはいけません。
シミなど汚れがついた場合、こすらずに乾いたタオルで叩いて吸い取るようにします。

シワにも注意

伸縮性がないためシワになりやすいのですが、熱にもあまり強くないためアイロンをかける際も注意が必要。
アイロンがけの際は、当て布をして低温〜中温でかけるようにしましょう。

水に弱いキュプラの洗濯

キュプラ素材の衣服や布は、水に弱く縮みやすいため、家庭洗濯機で洗わない方がいいものがほとんどです。必ず洗濯表示をチェックましょう。

できればドライクリーニングが無難で安心です。

基本的には水洗いが難しい素材ですが、洗濯表示に「手洗い可」とあればお家で洗濯もOK。いろいろな素材と混ぜて作られていることもあるので、キュプラ素材だから絶対NGというわけではありません。

お家洗濯の場合、ゴシゴシ洗ったり長時間水につけてしまうことは避けます。
心配な方は、はじめだけでもクリーニングに出した方が間違いないです。

洗濯機は使わず手早く手洗い

もし家庭で洗濯する場合は、洗濯機は使わず手洗いにしましょう。
水に長時間つけないよう、3分ほどで手早く行います。

洗濯方法

準備するモノ

  • 中性洗剤
  • 洗濯ネット
  • タオル

30°Cくらいのぬるま湯に中性洗剤を溶かして優しく洗います。(こすらず押し洗い)
すすぎも同じ温度のぬるま湯で。(こちらもこすらず押してすすぐ)

押し洗い
「押し洗い」消費者庁イラスト集より

脱水は大きいタオルでおさえるようにして水分をとり、陰干しで干します。

「タオルドライ」消費者庁イラスト集より
「陰干し」消費者庁イラスト集より

ビスコースレーヨンとの違い

キュプラとビスコースレーヨンは大分類ではレーヨンの一種。
関連記事 : ビスコースとは?レーヨン素材を詳しく知る

大きく異なるのは原料。
キュプラの主原料はコットンリンターで、ビスコースレーヨンは木材パルプです。

同じシルクを目指した再生繊維ですがキュプラはビスコースレーヨンより繊維が細く、なめらかさはキュプラの方が優れます。

どちらも水に弱く伸縮性が低いためシワになりやすい。
デメリットは同じですが、ビスコースレーヨンとキュプラだけで比べると、キュプラの方が水に強くシワになりにくいです。

素材のことを知ってアイテム選びの参考に

なぜ高いのか、といったことも知っておくと、モノを選ぶときの参考になると思います。
欲しいものが、高いなー…と思ったら素材チェック。素材について知っていると納得できることもあります。

またより一層、大切にしようという思いもでてきます。

ぜひ素材の価値を知って、アイテム選びをしてみてください。