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織物・編み物の基本の作り【三原組織】それぞれの特徴とは

2024/01/19

布生地には織ってつくる織物と編んでつくる編み物があります。これらにはさまざまな織り方・編み方がありますが、それぞれに基本となる三原組織というものがあります。

服を作る人は意識することが多いと思いますが、選ぶ側の人にとっては馴染みが薄いかもしれません。しかし織物・編み物の種類や特徴を知っていると欲しい服が選びやすくなるかもしれません。ぜひ参考にしてみてください。

織物の基本 三原組織

織物はたて糸とよこ糸を直角に交差させてつくる布地のことで、布帛(ふはく)とも言います。糸の交差の仕方によって種類が分けられており、見た目・丈夫さ・風合いなどが変わります。

織物の三原組織はこちら。

  • 平織り
  • 綾織り
  • 朱子織り(繻子織り)

平織り

平織りは、たて糸とよこ糸を1本ずつ交互に交差させる織り方で、最もベーシックでシンプルな織り方です。見た目は細かいチェック柄になり、左右対称で表と裏が同じ模様になります。「タフタ」とも言います。

織物の中でも特に丈夫で摩擦に強く、プリントや加工がしやすいのが特徴。糸の太さや色を変えて様々な模様や柄を入れることもできます。

【平織りで作られる生地】

オックスフォード、ギンガム、オーガンジー、シャンブレー、ブロード、ドビー、ガーゼ、羽二重、ちりめん、ボイル、ローン、金巾(かなきん)、シーティング、帆布、モスリン、など

綾織り(斜文織り・ツイル)

綾織りはたて糸とよこ糸が交互ではなく、互いに2本以上間をあけて交差させる織り方です。生地の表面はたて糸の割合が多く、斜めの線がうかび上がります。この斜めの線を綾目、斜文線と呼び「斜文織り」とも言われます。英語では「ツイル(twill)」です。

光沢感・伸縮性があり、シワになりくいといった特徴があります。

平織りより強度が落ちることや摩擦に弱いことはデメリットに思いますが、それが伸縮性の高さやいい感じの色落ちを表現してくれます。綾織りの代表生地「デニム」なんかはあえて色落ちさせてオリジナルのデニムを育てる、という方もいますね。

強度は劣るものの、糸の密度を高くすることで厚地なり丈夫にできます。その上で伸縮性にも優れるため、ワークウェア(作業着)によく使われます。

【綾織りで作られる生地】

デニム、ツイード、ダンガリー、サージ、チノクロス、ギャバジン、カルゼ、フランネル、バーバリー、ドリル、など

朱子織り(繻子織り)

朱子織りは平織り、綾織りより糸の交差点が少なく、片方の糸が多くなる織り方です。交錯点が上下左右すべて隣り合わせにならないように、規則的にとばして織っていきます。

朱子織りという名前はあまり聞きなじみがないかもしれませんが、「サテン」がこの生地に当てはまります。
素材によっても名称があり、絹ならシルクサテン、綿ならコットンサテンといった呼び方もします。

たて糸を多く浮かせる「たて朱子」、よこ糸を多く浮かせる「よこ朱子」といったり、
交差点の間隔(どのくらいあいているか)によって「五枚朱子」「八枚朱子」といったり、朱子織りの中にも種類があります。

糸が交差している部分が多いため、摩擦に弱く強度も3つの中で一番弱いですが、すべすべでなめらかな手触りと光沢感があり、高級感のある生地になります。ドレープ性が高いのも特徴です。

シワやひっかき傷、折れ目などが付きやすく、デリケートな生地なので取り扱いには注意が必要です。

【朱子織りで作られる生地】

ベネシャン、ドスキン、など

これらを基本として変化を加えたものや織りを組み合わせたもの、三原組織に属さない織方など、まだまだ織りにはたくさん種類があります。

さまざまな変化を加えることで、いろいろな生地ができます。生地の織り方一つとっても奥が深いものです。

編み物の基本 三原組織

棒や針を使ってループを作りそこに次のループを引っ掛けるということを繰り返してつくる方法が編み物です。複数の糸でも一本の糸だけでも生地を作ることができます。

編み方には2つに大きく分けて横編みと縦編みがあります。

縦編みは縦方向に編み目を作っていき、織物のように編みます。縦編みは端がほつれてもポロポロと崩れにくく、薄い生地が作れます。
横編みは横に輪っかを作っていく編み方で、三原組織はこの横編みで編まれるものです。横編みだと1か所ほつれてしまうと、全体までほどけてしまうところが欠点です。

どちらも伸縮性がありますが。横編みの方がよく伸び、縫い目のない生地も作れます。

編み物の三原組織はこちら。

  • 平編み(天竺編み・メリヤス編み)
  • リブ編み(ゴム編み)
  • パール編み(両頭編み)

平編み

平編みは「天竺編み」、「メリヤス編み」とも言われます。一番ベーシックな編み地で、縦横とも同じ編み組織が連なった編み地です。比較的薄く生地が作れること、横方向の伸縮性が高いのがこの編み方の特徴です。

見た目の特徴として、表と裏の編み地が異なります。表はV字の編み目が整列していて、裏は半円状で出っ張りがあります。

平編み(表)

平編みとタック編みが交互になった平編み変形型の一つに「鹿の子編み」というものもあります。鹿の子絞りという織物に似ているため鹿の子編みと言い、肌への接触が少なく通気性がいいのが特徴です。

リブ編み

リブ編みはゴムのように伸び縮みする編み方で、ゴム編みとも言われます。セーターの袖口によく見られる編み方。飛び出した目と引っ込んだ目が交互に並びます。

またフライス編みとも言われ、「フライス」という言葉は商品名や説明にもよく使われます。

パール編み

パール編みは横一列に連続して飛び出している目があり、次に引っ込んでいる目があり、それが交互に続けて編まれているものです。

パール編みは縦方向の伸びに優れているのが特徴です。

服を選ぶときに織り方や編み方は重要?

服を作る人ならどういう作り方についてしっかり考えると思いますが、服を選ぶ時はそんなに織り方や編み方を見ることはないかと思います。

「これは伸縮性があります」「しっかりした生地で丈夫です」「なめらかな肌触りです」といった説明が書かれているので、わざわざ作り方を意識する必要はそんなにないかもしれません。

ただ、私がネットで服のアイテムを探している時に「このアイテムは天竺編みで〜」とか「平織りで作られています」などとだけ書かれていた時にどんな生地なのかイメージしにくかったので、この記事にまとめてみました。

どのような作りの生地かを説明しているアイテムも多いです。作り方の種類について知っておくと、どんな織り方や編み方で作っているかが書かれていた際に、すべての説明を見ずともどんな特徴があるアイテムなのか判断しやすいです。

ぜひ服選びの参考にしてみてください。