
どちらを選ぶ?化学繊維と天然繊維のメリット・デメリット
2022/06/18
繊維は生地の原料。最近では環境問題も大きな関心ごととなっています。気に入った服がどのような繊維からつくられているか、確認する人も少なくないはず。
天然繊維を選ぶか化学繊維を選ぶか、しっかり知識をつけて選ぶと失敗が少なくなります。
繊維の種類
「繊維」は大きく分けて天然繊維と化学繊維があります。
自然にある原料をそのまま使うのが天然繊維。
化学の力を使って人工的に作られるのが化学繊維。
それぞれ、さらに細かく分けられています。
【天然繊維】
植物繊維 | 綿や麻など。植物の一部が原料 |
動物繊維 | ウールやカシミヤなど。動物の毛が原料 |
鉱物繊維 | 石綿(アスベスト)。鉱物が原料。 |

植物繊維は「セルロース」、動物繊維は「たんぱく質」が主成分です。
【化学繊維】
合成繊維 | 主に原料は石油。人工的に作られた繊維ポリエステル、アクリル、ナイロン |
半合成繊維 | 天然の原料に化学薬品を混ぜて作られた繊維アセテート、トリアセテート、プロミックス |
再生繊維 | 天然の原料を一度溶かしてから繊維に再生させた繊維レーヨン、キュプラ |
無機繊維 | 金属、ガラス、炭素など、無機物から作られた繊維 |

石油を原料としたり、化学薬品などを使って人工的に作られた繊維が化学繊維。「人造繊維」とも言います。
合成繊維は、繊維をつくる過程で「機能剤」という化学物質を入れます。
これによって様々な機能をつけることができるので、同じ「ポリエステル繊維」でも違った特徴を持っていることがあります。
天然繊維は自然界に存在するものを使うため、大量生産が難しく素材によってはとても高額なものになります。
大量生産して価格を抑えた商品を作る、天然繊維だけでは実現しづらい機能を作るために開発されました。
天然繊維のメリットデメリット
天然繊維は形状が一定ではなく、酸やアルカリに弱いです。
摩擦に強く通気性があり、低刺激で耐久性もある。と言ったことが共通特徴としてあります。
自然素材ならではの風合い
天然繊維は形状が一定ではないため、一つ一つのアイテムに違った風合いを楽しめる素材でもあります。
化学繊維では難しい自然の風合いが魅力の一つと言えるでしょう。
吸水・吸湿性・通気性に優れ着心地が良い
汗をかいて発散されないと雑菌が増えるため肌へのダメージがあります。吸水湿性や通気性が優れていると肌に優しいです。
肌の弱い方にとって天然繊維は良い素材と言えます。
シワになり安く縮みやすい
天然繊維はシワになりやすく縮みやすいものが多いです。
また変色や色落ちのしやすさも天然繊維のデメリットです。
化学繊維のメリットデメリット
合成繊維は形状が一定でシワになりにくく、洗濯しやすく乾きが早い、型崩れしにくいといったメリットがあります。酸やアルカリ、有機薬品に強い。
また大量生産しやすいので安価で作れるため、天然繊維のものより安く手にできます。
多くの合成繊維は通気性や吸湿性が低く、静電気を起こしやすいです。これは生地が傷みやすく、肌への負担が大きいことを表します。
合成繊維は「強い繊維」というのも特徴の一つ。これは切れにくい、ほつれが少ないというメリットにもなりますが、一度毛玉ができると表面にしっかりついて取れづらいというデメリットにもなります。
特殊な機能を追加できる
防水・撥水、速乾、UVカット、静電気防止。
さまざまな便利機能をつけることができるのが化学繊維の大きなメリット。
再生させてリサイクル
化学繊維はリサイクル技術も進んでいて、工業化されています。何度でも再生させることができるため、「使い捨て」ということから脱却できる可能性も含んでいます。
肌から吸収される化学物質で肌トラブルにつながる
環境汚染という課題もありますが、人への化学繊維の大きなデメリットは肌から化学物質が入ってしまうことです。
化学繊維は原料に石油、化学物質や溶剤。
肌に直接化学物質が触れていると、ほんの微量ではあるもののその化学物質が吸収されます。そして吸収されると90%は体内に残ってしまいます。
参照 : 経皮毒って知っていますか?
極微量のため気付きづらいですが、たまりにたまると皮膚トラブルを起こしてしまうことも。「化学繊維アレルギー」という皮膚炎もあります。
化学物質を含んでいること、吸湿・吸水性が少なく静電気が起きやすい。
こういった特徴は肌トラブルにつながります。
赤く腫れたりかぶれる、かゆみや痛みを感じることもあります。これらが化学繊維アレルギーというものです。

吸湿性が低いとムレの原因に。そのムレたところから肌トラブルが発生することも少なくありません。
静電気が発生すると体にも帯電します。その静電気によってさらにかゆみが増してしまったり、肌が傷ついたりすることもあります。
天然繊維と化学繊維どちらを選ぶ?
「こうだったらいいのに」から生まれた化学繊維は機能面で天然繊維に勝っていることが少なくありません。
天然繊維にしか出せない風合いや肌触りもあります。
化学繊維も日進月歩。日々デメリットを改善するために進歩しています。
天然繊維は高額になりやすいと言われますが、化学繊維でも高額な製品はたくさんあります。どのように作るか、といった点にも左右されるため一概にどちらが高い商品か、ということは言えないような気がします。
正直どちらも一長一短で全てが悪いとは言い切れないのが事実です。
そのアイテムはどんな場面でどのように使いますか?
素材の特徴を知って、選ぶことができれば自分にあったものをチョイスできるはず。
商品説明をよく読むことや販売員の人に尋ねたりなど、どんな素材でつくられているかはよく確認しましょう。
ぜひいい素材を選んで後悔しないお買い物をしてくださいね。