ストライプとアート | freeen

ストライプとアート

2021/09/04

芸術家はアートという作品を通して、私たちに感情を揺さぶります。

興奮、憧れ、悲しさ、楽しさ、希望。どういった感情を持つかは、同じ一つのアート作品でも人によって違ったりする。
その作品に入り込むと、別世界に連れられたような混乱と心地よさを感じることも。自分の中にこんな感情があったという驚き、過去の体験から思い出される感情などがあります。
私たちがアートを見るのは、その魔法にかかりたいからかもしれません。

ストライプが伝えるもの

絵画や写真、造形など、ジャンル問わず多くの芸術作品に使われるストライプ。

特に20世紀前期に生まれたモダンアートには、縞模様のコラージュが目立ちます。

アーティストたちが作品の中にストライプを用いるのは、模様の持つ引力の強さ。2色以上の線が並ぶ、というシンプルな模様から強いインスピレーションを得られるのでしょう。

またストライプは「自由」や「意志」を表現する柄としても使われます。

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時としてアーティストの思いや考えを形にするアート。その「意志」をストライプに込めて表現しているのはないでしょうか。

線の繰り返しは無限の広がり

「単純な線の繰り返し」。なんだかそれだけ聞くと退屈な感じ。
しかし、ストライプのその繰り返しこそが無限の広がりを表現しています。

連なる線は時にトランス状態(通常とは違う意識)へ。

トランス状態で得られる浮遊感や幸福感、そして広大な空間の存在を、単純な線のパターンがもたらします。

トランス状態への一番の近道は、「繰り返すこと」。単純で単調な繰り返しは、思考と感覚を麻痺させるのに最も効果的とされています。

たとえば音楽。

ハウスから派生したトランスミュージックは、クラブシーンを中心に世界中で支持を集め、一大ジャンルとしての地位を確立しました。

美術の分野でも、トランスは創造力を掻き立てる重要なファクターとして、さまざまなアーティストたちの作品に登場します。そしてそのトリガーとなるモチーフがストライプなのです。

ルネガールから感じる自由

ルネガールは内藤ルネが生み出した数々の「カワイイ」少女たち。
このルネガールには印象的なストライプデザインや自由を感じるところがあります。

美しく輝いていられる時間は永遠にはありません。しかしその瞬間の美を切り取り、閉じ込めようとしたのがこのルネガールです。

内藤ルネ

内藤ルネは1950〜70年代にかけて活躍したイラストレーター。
「カワイイ」ものを次々と生み出し、少女たちからの共感を集めていました。大きな目に大きな頭、すらりと伸びた手足の少女のイラストが彼の代表作。今も多くの人に支持されています。

また、人物だけでなく、動物や花などにも独自の感性を反映し、さまざまな形で作品を送り出してきました。

カワイイを永遠に

ルネが描き続けた「カワイイ」とは、一瞬のきらめき。

砂糖菓子のように甘く、あっという間に消えてなくなってしまうからこそ、誰もが惹かれ、欲するものです。
ルネは、その永遠ではないものを永遠にしよう、「permanent girly(パーマネント・ガーリー=永久的な少女性)」を表そうと、作品の中に思いを詰め込みました。

内藤ルネの作品が色あせず、新たに評価を集め続けているのは、描かれている少女たちが今なお輝き続けているからに他なりません。

ルネのストライプ

ルネの作品には、しばしばストライプ柄が登場します。ルネ作品の象徴ともいえます。
内藤ルネの作風を、ストライプ柄が端的に説明しているのです。

ストライプには、若々しく見せる効果があります。子どもっぽくなってしまいがちなモチーフをあえて取り入れたのは、ルネの描くものが、「成熟した女性」ではなく「あどけない少女」だったからでしょう。

大人と子どもの間、ほんのわずかな期間にのみ見られる、みずみずしさやイノセントな魅力。それらを表すのに、ストライプの持つ印象の力を借りたのかもしれません。

ルネガールが教えてくれた自由

こぼれ落ちそうに大きな瞳、長いまつげに紅色のほっぺ。艶やかな赤い唇に小ぶりなまゆげ。ガーリー要素を惜しげもなくつめ込んだカワイイ容姿。

このかわいらしさはルネガールが誕生するまで、日本に存在していませんでした。
それまで描かれていた少女は、どこか影をまとったような「おしとやかさ」が主流だったのです。

そんなときに、ルネが明るくポップなガールを描くことによって「カワイイ」女性像が広まっていきました。

おしとやかでなくてもいい。控えめでなくてもいい。自分を飾っていい。
女性はどこまでも自由なのだと。

ルネガールの着こなしにも注目。
甘い色合いやフォルムでカワイイコーディネート。トラッドでガーリーな雰囲気が多いルネガールですが、白黒のストライプスーツをまとったルネガールもいます。

白黒のストライプは、カワイイとはまた違ったイメージがあります。

出典 : Style Inspiration: Lots of Stripes – The Simply Luxurious Life®

ルネガールはカワイイ女の子。しかし、カワイイ人が必ずカワイイ服を着なければいけないわけじゃない。

カワイイがマニッシュなストライプを纏うのも自由。
そこにルールはないのです。

内藤ルネにそのような意図があったかは分かりません。なんとなくストライプを着せてみただけかもしれない。

カワイイも取り入れるストライプ。カワイイの可能性も広げるストライプ。ストライプの可能性、表現は広さはアートに向いているのかもしれません。