ウールはどんな素材?
ウールは主に羊の毛を使った天然素材。
世界中で生産される繊維の2%を占め、ニット素材の中でもよく生産・消費される素材です。
ニットなど冬に活躍するイメージのウールですが、熱が伝わりにくい素材で、夏用アイテムにも使われます。
毛質によって繊維の細さが異なりランク分けされ、普段使いから高級ブランドに使われるものまで幅広く種類があり、ファッションアイテム以外にもカーペットやラグなど生活雑貨に使われるものもあります。
そんなウールについてもっと詳しくみていきます。
ウールの種類

羊毛以外にもウールとして表記されることもあります。
ほとんどはそれぞれの名前や「毛」といった形で表記されることが多いので、ウール=羊毛が大半になります。
羊毛以外では
- アルパカ
- モヘア
- カシミヤ
- アンゴラ
など。
羊毛として使われる羊の種類はおよそ3000種ありますが、羊の種類によって毛質も変わります。一番多く使われるのはメリノ種。一頭から約5kgものウールが取れ、生産量も多い。
オーストラリア、ニュージーランド、フランスなどのメリノ種が有名で、世界中で11万頭もの羊が飼育されています。
その中でも特に優れているのは、オーストラリアのメリノウール。
毛色は白く繊細で、質感が柔らかく光沢もあります。高級ウールとして使用されることが多い羊毛です。
繊維の細さによってランク分けされるウールですが、太さは16.0ミクロン〜40ミクロンまであり、羊の種類や毛の生えている場所によって変わります。
高級ニットのウールは19.5ミクロンと言われ、一般的なメリノウールは23ミクロンです。
ウールのチクチクは繊維の太さ
ウールのチクチク感が苦手という人もいると思いますが、ウール全てがチクチクするわけではありません。ウールに限らず麻やアクリルでもチクチクすることがあります。
これは繊維の太さによるもの。太い繊維が含まれているとチクチクが感じられやすいです。
30ミクロンより太い繊維が5%以上含まれているとチクチク感が起こりやすいと言われています。
細かい上質なウールは価格も高くなりますが、繊細なお肌の人はウールを選ぶ際は繊維の細さを意識してアイテムを選ぶと自分に合ったものが見つけられるはずです。
ウールに似せた合成繊維がアクリル
ウールに似せて人工的につくられた繊維がアクリルです。
ウールに近い肌触りでウールよりも安価なところが魅力のアクリルですが、似ているとはいえ違います。やはりウールにはウールならではの魅力がたくさんあります。
ウールの特徴
ウールは天然繊維のため、羊の種類や育った環境などによって風合いや特徴は異なります。
特に紡績方法(羊毛を糸にする工程)で、肌触りや扱い方に違いがでます。
糸は「梳毛(そもう)糸」と「紡毛(紡毛)糸」があり、
なめらかで光沢感のある「梳毛(そもう)糸」、
粗く素材本来の風合いが楽しめる「紡毛(紡毛)糸」となっています。
暖かい保温性と優れた吸湿性
空気を多く含むウール繊維は保温されると同時に熱が伝わりにくい素材でもあります。
なので、夏用の衣服にも使われており、年間通して活躍しています。
ウールの一番の特徴は保温性の高さ。
これは、ウールの繊維がクリンプと呼ばれる縮れた構造になっていて、それらが複雑に絡み合い、繊維内に空気を含むことで熱を逃がしにくくなっています。
参照 : クリンプ
また、ウールは水をはじき、吸湿性にも優れた素材。
身体から発する水蒸気を逃がしてくれるので、蒸れにくく汗をかいてもさらりと気持ちよく過ごせます。
夏涼しく冬暖かい
冬に活躍するイメージのウールですが、保温性と吸湿性を兼ね備えているので、暑い季節でも活躍できます。
通気性が高くなるように生地をつくることで身体の熱や水蒸気を外側へ逃がしてくれます。
反対に熱を逃さないようにつくることで、保温性を最大限に。
生地のつくり方によって夏でも冬でも使える素材なんです。
シワになりにくい
高い弾力性があるため、シワになりにくく型崩れしにくい。また、元に戻る回復力の高さがあるので、シワになってしまってもスチームや霧吹きで水分を含ませれば、簡単に戻すことができます。
汚れがつきにくい
ウールの表面は、人の髪の毛のキューティクルのように薄い膜で覆われているため、汚れがつきにくくなっています。
また油分を含んでいるので撥水性があり、雨や泥などの水溶性の汚れをはじいてくれます。
汚れにくさに加え、抗菌・防臭効果もあるので、汚れや臭いがよく気になってしまう!という人にウールはとてもおすすめです。
土に還る
羊の毛からできたウール素材のものは土に埋めると、微生物がウールを分解し土に還ります。世界中が地球に優しい世界を目指している中、ウールを選ぶことで私たちもエコに貢献できます。
伸縮性がある
厚手のしっかりとした生地でも着やすいのはウールの伸縮性のおかげ。繊維が縮れているため素材が伸び縮みします。
この伸縮性があることはメリットだけではありません。干し方や洗い方によっては生地が伸びてしまうこともあります。一度伸びてしまったら元に戻すのはなかなか難しいものです。
毛羽立ちやすい
デメリットな部分ですが、ウールは毛羽立ちやすいです。一度洗濯すると摩擦によって繊維がバラバラになり、毛羽立ち、毛玉もできやすくなります。
お手入れには注意が必要です。
ウールマーク
「ウールマーク」は良質なウールを使っていることの証。
このマークがあることで再生羊毛ではなく新しい羊毛を使っていることを表しています。
ウールマークは3タイプあり、品質が異なります。
- 新毛100%
- 新毛が50%含まれるもの
- 新毛が30〜50%含まれるもの
ウールの取り扱い注意点
ウールは洗い方と保管方法に注意が必要。
ウールアイテムを長持ちさせるためにも、しっかりおさえておきましょう!
ウールの手洗い
ウールは水の影響を受けやすい素材です。洗い方や水温を間違えてしまうと繊維自体が縮み、フェルト状になって硬くなります。
また、油分が失われ、ウール本来の風合いが失われてしまう可能性も。
毛玉にもなってしまうので、ドライクリーニングが無難です。
ウールの保管方法
ウールは虫食いが起きやすい素材なので、保管には十分な注意が必要です。ホコリや食べこぼしなどの汚れがついた状態で放置すると虫食いの原因に。
シーズン終わりにはクリーニングしてきれいな場所で保管しましょう。
圧縮袋に入れたり、収納前に少し熱をあてて害虫や虫の卵を殺す、という一手間でさらに虫食い予防になります。
一度着て毛玉ができてしまったらすぐに取り除きます。日頃からブラッシングしてホコリを落としたり、アイロンのスチームをかけて匂いを飛ばしたり、まめなお手入れできれいなウールが保てます。
伸縮性のあるウールはハンガーに長期間かけっぱなしにすると伸びてしまうことも。シワになりにくいので畳んで収納する方が良いです。
ウールのお手入れ
ウールは汚れがつきにくい特性を持っているため、ニット・セーターなどはワンシーズンに2〜3回洗えば十分です。
洗わなくても大丈夫ですが吸湿性があるので、着たらハンガーで干して乾かしてから収納します。匂いや雑菌が気になるなら消臭スプレーでのお手入れをしましょう。
ウールは手洗いができるものとドライクリーニングしかできないものがあります。
基本的には水洗いに不向きなので、手洗い表記があっても、生地によっては風合いを損ねてしまう可能性はあります。
長くきれいに使いたいアイテムはドライクリーニングがおすすめ。
ウールの洗濯
洗濯する場合は30°C前後のぬるま湯で洗います。水の温度によって縮んでしまうので冷たすぎても熱くてもNGです。
洗剤は「ウール素材OK」のおしゃれ着用洗剤(中性洗剤)を使いましょう。アルカリ性洗剤、漂白剤は繊維が溶けることがあるので使用しないように。
ぬるま湯に洗剤を溶かして洗濯物を浸して押し洗いします。
洗うときに強く擦ってしまうと毛玉ができたり劣化する原因になるので優しく。
なるべくきれいに形をキープしたまま洗うのも型崩れを少なくするポイントです。
汚れが目立つ部分は洗剤の原液を少しの間つけ置きしましょう。
すすぎもぬるま湯で行います。
洗い終わったらタオルでしっかり水分を吸収するか、ネットに入れて洗濯機で30秒以内で脱水します。脱水の時間が長くなるほどシワになりやすくなってしまいます。
干す際は形を整えて平干しで乾かすと型崩れなくきれいに乾かせます。
ウールは熱に弱いので乾燥機はNGです。
お気に入りのアイテムは少しでも長く使っていたいものですよね。お手入れが少し大変なウールですが、大切にすれば長く愛用することができる素材です。
特徴や注意点がわかればお気に入りのアイテムが長持ちしたり、目的に合ったアイテムを選ぶことができるようになります。
素材を知って自分に合う素敵なアイテムを見つけにいきましょう。