織物と編み物はどう違う?生地の作り方の種類
2023/09/26
服に使われる生地は素材から糸をつくり、その糸を使って編んだり織ったり加工したりしてできあがります。
生地は素材や製法によってさまざまな種類がありますが、作り方を大きく分けると「織り物」と「編み物」。この他、織りも編みもしない「不織布」があります。
同じ素材であれば織物と編み物は別物の生地と思っていいでしょう。素材を気にする人は多いかもしれませんが、さらに生地の作り方も知ると、より欲しかったアイテムを選べるようになります。
生地の作り方の種類
- 織り物
- 編み物
- 不織布
- フェルト
不織布もフェルトも織りも編みもせず、作られますが、原料や製法の違いによって呼び分けられます。
不織布
織りも編みもせず、接着剤や熱など製法はさまざまありますが、繊維をシート上に付け合わせた生地を不織布と言います。素材はポリエステルなど化学繊維が主になります。
ほつれにくくシワにもなりにくい、そして変形しづらく軽いのが特徴。伸縮性はありません。また水に弱いので洗濯には不向きです。
小さな隙間が無数にあるため衛生用品や換気扇フィルターや収納袋など、通気性の必要なさまざまな日用品に使われていることが多いです。マスクが一番身近な不織布アイテムですね。
フェルト
フェルトも織ったり編んだりせず、繊維を圧縮してシート状にした生地です。接着剤は使わず、主に羊毛など動物繊維の素材に熱や蒸気をあて、繊維を絡ませて作られます。
織り物
織り物はたて糸とよこ糸を直角に交差させてつくる布地のことを指し、布帛(ふはく)と言われたりもします。
織り機で作られ、糸と糸の間に隙間はありません。交差の仕方によって見た目、丈夫さ、風合いなどが変わります。
織り物の基本三原組織
基本の織り方として以下の3つがあげられ、これらは「織物の三原組織」と言われます。
- 平織り
- 綾織り
- 朱子織り
織物は一本一本の糸を密着させて織り上げていくため、編み物に比べ密度が高いです。これは生地を丈夫に仕上げられることがメリットですが、シワになりやすく通気性が低くなるデメリットもあります。
また素材にポリウレタンといった伸縮性の高いものが使われないと伸縮性は低いです。伸縮性が低いのは悪いことばかりではなく、伸びにくく型崩れしにくいというメリットもあります。
シャツ・ジャケット・コートなどかっちりした印象のアイテムには織物生地が使われます。
編み物
棒や針を使ってループを作り、そこに次のループを引っ掛ける。この動作を繰り返してつくる方法が編み物です。レースも編み物のひとつです。
棒針編み・鉤針編みなどといった編む方法がいくつかあります。また織り物は2本の糸を使うことが基本ですが、編み物は複数の糸でも一本の糸だけでも生地を作ることができます。
編み物の基本三原組織
基本の編み方として以下の3つがあげられ、これらは「編み物の三原組織」と言われます。
- 平編み(天竺・メリヤス編み)
- リブ編み(ゴム編み)
- パール編み(両頭編み)
編み物は保温性や通気性が高く、伸縮性もあります。型崩れしやすく毛玉ができやすいのが欠点。
ニットというと毛糸で編まれたセータや帽子などを想像する人も多いかと思いますが、「編み物の総称」がニットです。
実はカットソーもニットに分類されます。カットソーは編み生地を裁断し縫製してつくられたものです。この方法を英語で「cut and sewn」なのでカットソーと呼ばれています。
織物・編み物違いまとめ
伸縮性や柔らかさなど、そのアイテムの特徴を考えて生地の作り方が選ばれています。
作り方も素材も日々進化しているので、短所を補うこともできます。アイテムそのものの機能としては素材によっても変わりますが、生地の作り方だけをみた場合の違いとして以下のようにまとめられます。
- 伸縮性は編み物の方が高くシワがつきづらい
- 通気性や保温性も編み物の方が高い
- 織り物の方が型崩れや毛玉の発生は低い
フィットしたものを選びたいときは編まれた生地を選ぶ、型崩れしにくいものを探しているなら織られた生地を選ぶといったように、生地の作り方でも選ぶアイテムを吟味してみてください。
生地も奥が深いです。自分がどのようなアイテムが欲しいかを考えて、どういった作りをしていればそれが叶えられるのかを知っているとさらにアイテム選びに磨きがかかると思います!