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ストライプが持つ意味を歴史やアートからひも解く

2024/01/23

言葉としてのストライプは「縞模様」を意味しますが、ストライプの歴史をみると軽蔑や革命を表現するものとして使われていたこともあります。

他人を見た目で判断するときも、自分が身に着けるものを選ぶときも、そこには「無意識」の考えや思いがあります。
あの人はきっとこういう人だ、自分をこんな風に見てもらいたい、そういった気持ちがどこかにある。

ストライプの歴史や意味を知るとまたファッションへの取り入れ方が変わっておもしろいと思います。

他人には分かってもらえないかもしれないけど、気合を入れるためや今の気分を表すなど、そういった形でもストライプを使ってみてください。

初めは軽蔑の意味を持っていたストライプ

ストライプが意味を持って現れたのは中世で「軽蔑」の意味を持っていました。

中世の頃は異端者を軽蔑し、区別するためにストライプが使われていたのです。当時2色のストライプは、受刑者や農奴、売春婦といった社会的立場が低いとされていた人たちが着るものとされていました。

このように2色ストライプだったのは、中世の背景と、単純に「目立つ」ということから一般社会と区別するためでした。

「目立つ」を取り入れ危険に備えた海の人

差別といった意味合いではなく、「目立つ」という点からストライプを取り入れたのは、海で働く人たち。

今では定番となったマリンスタイルのはじまりは、漁民や船乗りが自分たちのスタイルにストライプを取り入れたこと。

船上の仕事は危険と隣り合わせ。常にお互いを見分けられるよう、海で落ちても目立つものを身に付けていれば助けやすい、ということでストライプが用いられたと言われています。

日本でのストライプの歴史

日本にストライプ(縞柄)が誕生したのは16世紀。
日本では「筋」とよばれる柄があり、縞柄とはまた違ったものでした。

江戸中期ごろ、日本では単調な縞模様は不人気。インドから唐山縞(とうざんじま)などが船で運ばれてきました。
それから縞柄は人気となり、文化・文政期ごろには「縞模様は粋」として大流行。
参考 : 江戸時代の縞柄 | 亀田縞 – 江戸ストライプ

その後、時代とともにその柄のもつ意味も変わります。

「革命」「反骨」といった意味がもたれるようになったのです。

軽蔑から反骨…そして自由

かつてストライプは、前述したように好ましい柄として認識されていませんでした。

ストライプがポジティブな意味合い「革命」「反骨」という意味を持つようなったのは、激動の時代。アメリカ独立とフランス革命からだと言われています。

【参考】
アメリカ独立戦争とは?背景や要因、結果をわかりやすく解説。
5分で分かるフランス革命!流れや原因を分かりやすく解説!

自由と平等を求めて、海を渡り新天地へと歩みだしたアメリカ。その精神を象徴するストライプを身にまとうことで、心の自由を表現します。

アメリカの国旗は、星と縞模様で構成されているので「the Stars and Stripes」と呼ばれます。

アメリカが自由の象徴として、国旗にストライプを入れたことがフランスにも影響を与えました。そしてストライプが「革命」や「反骨精神」、そして「自由」を象徴するものとなったのです。

このようにアメリカとフランスの大きな変革によって、ストライプの意味が軽蔑から反骨へと変わりました。

「意志」を表現するストライプ

「革命」や「反骨」といった意味を持つように、ストライプは意志の強さを持つ柄と言えます。

前衛的なファッションをデザインするジャン=ポール・ゴルチエ 、アートの巨匠アンディ・ウォーホールもよくストライプシャツを着ていたようです。

【参照】
The Designer | WW site – EN lang
3分で基礎から学べるアンディ・ウォーホル!

アーティストは自分の考えを形にして表現します。彼らもきっとストライプにある「意志」を表わしていたのではないでしょうか。

ストライプとアート

「単純な線の繰り返し」は無限の広がりを表現しています。

連なる線は時にトランス状態(通常とは違う意識)へ。

トランス状態への一番の近道は「繰り返すこと」。単純で単調な繰り返しは、思考と感覚を麻痺させるのに最も効果的とされています。

たとえば音楽。ハウスから派生したトランスミュージックは、クラブシーンを中心に世界中で支持を集め、一大ジャンルとしての地位を確立しました。

美術の分野でも、トランスは創造力を掻き立てる重要なファクターとして、さまざまなアーティストたちの作品に登場します。
そしてそのトリガーとなるモチーフがストライプなのです。

ルネガールから感じる自由

ここで一人のアーティストをご紹介しながらストライプとアートの話をしたいと思います。

1950〜70年代にかけて活躍したイラストレーター、内藤ルネが生み出した数々の「カワイイ」少女たち、ルネガールをご存知でしょうか。
「カワイイ」ものを次々と生み出し、少女たちからの共感を集めていました。今も多くの人に支持されています。

彼の代表作であるルネガールは、大きな目に大きな頭、すらりと伸びた手足の少女のイラスト。

美しく輝いていられる時間は永遠にはありません。しかしその瞬間の美を切り取り、閉じ込めようとしたのがこのルネガールです。

ルネのストライプ

ルネの作品にはしばしばストライプ柄が登場し、象徴ともいえます。
内藤ルネの作風を、ストライプ柄が端的に説明しているのです。

ストライプには、若々しく見せる効果があります。子どもっぽくなってしまいがちなモチーフをあえて取り入れたのは、ルネの描くものが、「成熟した女性」ではなく「あどけない少女」だったからでしょう。

大人と子どもの間、ほんのわずかな期間にのみ見られる、みずみずしさやイノセントな魅力。それらを表すのに、ストライプの持つ印象の力を借りたのかもしれません。

ルネガールが教えてくれた自由

こぼれ落ちそうな大きな瞳、長いまつげに紅色のほっぺ。艶やかな赤い唇に小ぶりなまゆげ。ガーリー要素を惜しげもなくつめ込んだカワイイ容姿。

このかわいらしさはルネガールが誕生するまで、日本に存在していませんでした。

それまで描かれていた少女は、どこか影をまとったような「おしとやかさ」が主流だったのです。

そんなときに、ルネが明るくポップな女の子を描くことによって「カワイイ」女性像が広まっていきました。

おしとやかでなくてもいい。控えめでなくてもいい。自分を飾っていい。
女性はどこまでも自由なのだと。

甘い色合いやフォルムでカワイイコーディネート。トラッドでガーリーな雰囲気が多いルネガールですが、白黒のストライプスーツをまとったルネガールもいます。

白黒のストライプは、カワイイとはまた違ったイメージがあります。

ルネガールはカワイイ女の子。しかし、カワイイ人が必ずカワイイ服を着なければいけないわけじゃない。カワイイがマニッシュなストライプを纏うのも自由。
そこにルールはないのです。

内藤ルネにそのような意図があったかは分かりません。なんとなくストライプを着せてみただけかもしれません。

それでもカワイイを取り入れ、カワイイの可能性も広げたルネストライプ。

このようにストライプの表現は広さはアートに向いているのかもしれません。

ストライプには加護がある?!

パジャマやシーツ、マットレスなど、寝具にもストライプが多く使われます。これはストライプが「守護的な力がある柄」とされていたからと言われます。

ストライプは「柵や格子」の役割があり、休息中に悪霊や悪魔といった悪いものから身を守ってくれると考えられていたようです。

ストライプが与える印象

ストライプの持つ印象は必ずしも良いものばかりとは限りません。
TPOにそぐわない選び方をすれば、即座にマイナスの印象を持たれてしまいます。

そのためにもストライプの持つ特性をきちんと把握しておく必要があります。

線は細ければ知的でさわやかに、太ければ遊びっぽさを。
縦ならトラッドに、横ならカジュアルな印象を与えます。

縞模様は組み合わせ次第で活用できる場がいくらでもあるのです。
自分という人間をどう見せるかも、縞のバリエーションの数だけ応用可能。

場をわきまえた使い方さえマスターしてしまえば、ストライプはとても頼りになる柄です。

ストライプの意味もファッションへ取り入れる

歴史的にはあまり良くない意味で使われていたこともあるストライプですが、現代では誰もが着る模様です。マリンスタイルにもオフィシャルな場面でも使え、自由やアイデンティティの象徴として意味を持たせることもできます。

私たちが手に取るもの、目を止めるものにはきっと理由があるはず。なんとなくでもストライプに強く惹かれ、いくつものストライプアイテムに目がいってしまう。それはストライプから醸し出される自由を求めているからかも。

こんな風に歴史や意味を知ると、ストライプを選ぶときの気持ちも変わるのではないでしょうか。
ぜひストライプを使って自分を表現しながらファッションを楽しんでください。