帆布とは?丈夫で変化を楽しむ生地
2023/09/21
帆布は「はんぷ」と読みます。帆布は平織りで織られた厚手の生地のことで、英語ではcanvas(キャンバス)と言います。
綿や麻などと比べると馴染みが薄いかもしれませんが、ファッションに限らず身近にあるいろいろなモノに使われています。
帆布はとても丈夫で長く愛用でき、ナチュラルにこなれ感ありのおしゃれに使えたりもします。
いろいろな用途がある帆布
帆布はさまざまなジャンルのものに活用されています。
ファッションならバッグや靴、
インテリアだと椅子の張地、ハンモックやテントの生地、
油絵の画材にも使われます。
スポーツ用品でも使用されており、サンドバックや野球のベースに使われているのも帆布です。
帆布は他の生地よりもとても丈夫なので、強度が必要とされるものに重宝されています。
出典 : https://shop.converse.co.jp/shop/g/g31302381210/
帆布は他の生地よりもとても丈夫なので、強度が必要とされるものに重宝されています。
帆布の歴史
帆布は元々「船の帆」に使われていた布です。「帆」の「布」で帆布。
海の上という過酷な環境の中でも使われる帆布はまさに強じんな布です。
帆布の歴史は長く、始まりはなんと紀元前、古代エジプトともいわれています。ミイラの巻布にも使われていたそうです。
帆布は和名で英語ではキャンバス(canvas)。「麻で作られたもの」というギリシャ語が語源になっています。
現在では帆布に使われる素材も多様化し、綿・麻・亜麻などといった自然素材から、ポリエステルやアクリルなどの化学繊維のものなどがあります。
日本に帆布が伝わったのは江戸時代。速い船を作るために、工楽松右衛門という人が「松右衛門帆」を発明したのが最初でした。(ここから帆布と呼ばれるようになったといわれます)
テントや小物など用途が広がっていったのは明治時代から。戦争の時には軍服にも使用されました。
そして現代ではさらに生活に関するさまざまなモノに使用されています。
帆布の特徴と魅力
帆布は丈夫さが一番の特徴と言えますが、他にも特徴・魅力があります。
欠点は少ないですが、丈夫なゆえに重さと固さがあります。
また天然素材を使うため色むらや色落ちしやすい点もありますが、これは帆布の特徴ゆえなので、そこも楽しんでほしいです。
丈夫で固めの生地
帆布は糸を撚り合わせて平織りで作られます。
「撚る(よる)」とは、糸を捻って、互いに巻きつかせて一本にまとめること。
出典 : http://rug-lover.jugem.jp/?eid=182
しっかりした糸を目の詰まった平織りにすることで、丈夫な生地が完成します。
強度が必要とされるものに使われる理由は、帆布が他の生地よりも丈夫なこと。帆布の一番の特徴です。
他の生地ではここまでの強度はなかなかありません。
帆布はしっかりした生地を作るため、固くなりやすいものです。
生地が厚いという要因もあるのですが、加工による影響もあります。
帆布は生地を作ってから、用途によって加工されます。その一つにのり付け加工があり、これは生地を頑丈にする他、汚れ防止・防水性を高める目的もあります。
水を染み込ませにくくするパラフィン加工も固さを出している要因の一つと言えます。
通気性がいい
帆布は糸の間に空気を通す隙間があるので、通気性・吸湿性に優れています。
強度と通気性のバランスが良く、他の生地には併せ持っていない長所です。
水がしみ込みにくい
水のしみ込みにくさを最大限に活かしたのは LL Bean の人気トートバック。
LL Bean はキャンバス製トートバックの老舗です。
氷を運ぶためにも使われていたほど、濡れても水がしみ込みにくいです。
雨の日のカバンは帆布で決まり!とおすすめできる程、濡れても水がしみ込みにくいです。表面が濡れても中まで浸透しづらいのはとてもありがたい。
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パラフィン加工でさらに水に強い
パラフィン加工は帆布の防水加工によく使われます。「蝋引き(ろうびき)」とも言われ、表面にロウを塗り込んで撥水効果をつけます。
元々水を通しにくい帆布ではありますが、このパラフィン加工によってさらに水に強い生地になります。
経年変化が楽しめる
帆布は本革のように、使い込むほど味が出ます。
厚手の生地のため使い始めは硬いと感じますが、使っていくうちに柔らかくなります。色合いも自然に馴染んでいくような変化は帆布の楽しみの一つでもあります。
天然素材ゆえに色落ちがしやすいものもありますが、それもまたいい感じに自然に馴染むので、帆布ならではの経年変化を楽しめます。
環境に優しい
丈夫といえる生地は帆布だけではありません。機能性や強度、耐久性、メンテナンス性もあり、さらに安価に仕入れられる化学繊維の発展によって、帆布から代替される生地が増えています。
しかし帆布は自然素材を使いながらも丈夫な生地を作ることができるため、環境に優しい生地の作り方と言えます。そして汎用性が高く使いやすい。
また改めて利用が見直されています。
帆布の厚み種類(号、オンス)
使用用途によって帆布の選び方は変わります。
帆布の種類は「号」と「oz(オンス)」で分けられ、「号」は日本製、「oz(オンス)」は海外製のものに使用されます。
この種類は、より合わせの回数・織りの密度によって決められており、0-11号(oz)までの厚さがあります。
号数 | 原糸 | 原糸 | 原糸 | 密度(本/inch) | 密度(本/inch) | 重さ (g/㎡) |
番手 | 経糸撚り数 | 緯糸より数 | 経糸 | 緯糸 | ||
1 | 10 | 7 | 8 | 28-32 | 18-22 | 1014 |
2 | 10 | 7 | 7 | 28-32 | 16-20 | 941 |
3 | 10 | 6 | 6 | 28-32 | 19-23 | 867 |
4 | 10 | 6 | 5 | 29-33 | 18-22 | 794 |
5 | 10 | 4 | 5 | 32-36 | 23-27 | 720 |
6 | 10 | 4 | 4 | 32-36 | 23-27 | 647 |
7 | 10 | 3 | 4 | 34-38 | 24-28 | 573 |
8 | 10 | 3 | 3 | 34-38 | 24-28 | 500 |
9 | 10 | 2 | 3 | 44-48 | 33-37 | 510 |
10 | 10 | 2 | 2 | 45-49 | 34-38 | 428 |
11 | 10 | 2 | 1 | 43-47 | 39-43 | 343 |
参照 : 生地のご紹介 | 倉敷帆布
「0号が一番重く厚手で、数字が大きくなるにつれ軽く薄手」になります。
より合わせる糸の数によって強度が増し、1号ではなんと8本もの糸をより合わせて作られます。
このように「糸」を丈夫なものにすることで、しっかりした生地ができあがります。
1号や2号はテントなどの頑丈なもの。バッグなら6号から11号まで用途に合わせて作られています。
バッグは自分の好みの重さや固さから、号数を知っておくとネットショッピングでも失敗しにくいと思うので、帆布を購入するときは、ぜひ一度は実際のものをチェックしてみてくださいね。
より長く使うための帆布のお手入れ方法
どういう手入れをするかによって長持ち具合も変わります。より長く使用していきたいモノは、ぜひ普段から丁寧にお手入れしましょう。
汚れやムラも帆布の味わいの一つとしても楽しめますが、汚れの軽いうちから定期的にメンテナンスしてあげると、長くきれいな状態を保てます。
丈夫な素材なので耐久性は強いですが、天然素材を使用していることから色落ちや日焼けには気を付けたいところです。乾かすときは直射日光は避けるようにしてください。
洗濯
丈夫な素材なので耐久性は強いですが、天然素材を使用していることから洗濯機にはかけない方がベター。
また型崩れの原因にもなるので、できれば手洗いがおすすめです。
汚れの目立つところはブラシなどに洗剤をつけて洗います。38〜40°Cくらいのお湯が、汚れが落ちやすいです。
シワが強くついている場合はしっかりと伸ばしてから干します。干す場所は日光を避けて、陰干しにします。
素材によって洗濯できないものもあるので、洗濯表示のチェックはお忘れなく。
防水スプレーやワックスを使う
水を通しにくい帆布ですが、水濡れによって発生するシミなどはどうしても避けられないものです。
その心配を抑えてくれるのは防水スプレー。水や汚れから生地をコーティングしてくれます。乾いた状態でスプレーしましょう。
また帆布は色落ちしやすいものです。そんなときはワックスを使うことで色にツヤを出すことができます。ワックスは生地の補強にもなるのでおすすめです。
【防水加工やパラフィン加工のプロセス参考】
帆布(キャンバス)地のバッグの防水のためにオイルアップするかパラフィン加工するかを悩み中 | Green
濡れたら水を吸い取る
濡れたままでは黄ばんでしまいます。濡れた時は乾いたタオルや新聞紙などで水分を吸い取り、風通しの良いところで保管します。
定期的なブラッシング
帆布は織り目の間にホコリがたまります。バッグなど頻繁に洗濯できないものはブラシでホコリをとってあげてください。
消しゴムで汚れを取る
小さい汚れなら消しゴムで取れます。
取れない場合は柔らかい布に中性洗剤をつけて軽くこすってみてください。強くこすったり、強い洗剤を使うと色落ちしてしまうこともあるのでご注意を。
バッグの取っ手の汚れは固形石けん
取っ手部分は皮脂汚れが主なもの。洗濯機で洗う場合でも、この部分は下処理として固形石けんで汚れを落としておくのがおすすめです。
人気の日本製帆布!有名生産地は岡山県倉敷市
日本で作られる帆布の約7割は岡山県倉敷市といわれています。
帆布は「綿」で作られることが多いです。
倉敷は、素材となる綿花を作るのに適した土地であったこと、糸を撚り合わせる技術が発達していたことがきっかけとなり、帆布作りが発展していったそうです。
有名どころの一つに「倉敷帆布」があります。
倉敷帆布コーポレートサイト|株式会社バイストン
倉敷帆布では職人さんの手によって丁寧に織られます。1600年代から受け継がれている伝統の帆布です。
作り手によって表情が変わるのも帆布の特徴。400年以上の歴史がつまった、他の帆布職人には作り出せない特別なモノです。
質の良い帆布を求めているときはぜひチェックしてください。
【レディース】 倉敷産帆布セレブ手提げバッグ – セシール ■カラー:ブルー
使うほど楽しめる帆布
使うほどに味わいが増し、年を重ねるほどに愛着が持てる帆布。劣化ではなく変化を楽しめる生地です。
お手入れをしっかりすることでより長く自分好みのアイテムになっていくので、ケアをしながら長く愛用してください。
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糸から染めて織り上げられた鮮やかなストライプは、褐色しにくく長く愛用できます。漂白されていない、生成りの暖かさを感じられるカラーです。
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