ドライとウェットクリーニングの違いを知ってクリーニングに出す
2023/04/24
クリーニングに出すときによく聞くドライクリーニングとウェットクリーニング。
これらがどのように違うのかご存知でしょうか。
服に合わせてドライがいいかウェットがいいか、クリーニング店に任せきりにせず、自分から指定できると仕上がりや持ちが違うことも。
ぜひこれらの違いを知って服にふさわしいクリーニングができるようにしていきましょう。
ドライとウェットは「何で洗うか」が大きな違い
ドライクリーニングとウェットクリーニングは「水を使用する」が大きな違いになります。
ドライクリーニング | 有機溶剤を使って洗う油性の汚れを落とす、水洗いができない衣類のためのクリーニング |
ウェットクリーニング | 水と洗剤を使って洗う水溶性の汚れをしっかり落とす、化学的・物理的なダメージを抑えてクリーニング |
ドライクリーニングは水の代わりに有機溶剤と呼ばれる油を使用して、水を使わずとも汚れを落とすことができます。
そのため、水に弱い衣類はドライクリーニングが一般的です。
水洗い不可の衣類というのは、水によって型崩れや縮みが起きやすいことを表しています。
水は汚れを落としてくれる優れものですが、その浸透力の高さから繊維についている染料まで落とすため色落ちしてしまったり、衣類を縮ませてしまうことがあります。
色落ちや型崩れを起こりにくくするために、水を使わずに乾いた状態で洗うのがドライクリーニングです。ただし、油で水を溶かすことができないため、汗などの水溶性の汚れはドライクリーニングだけでは落とせません。
ちなみに家庭用の洗濯機での「ドライコース」は衣類への負担が少ないように洗うコースのことなので、ドライクリーニングとは異なります。
ウェットクリーニングは家庭洗濯と同様に水洗いしますが、より衣類にやさしい洗い方をしてきれいな仕上がりにしてくれます。
またドライクリーニングで落としきれない汚れを落としてくれるのもウェットクリーニングの特徴です。
ウェットクリーニングと家庭洗濯の違い
ウェットクリーニングは名前の通り「水に濡らして洗濯をすること」です。
これだけ聞くと家庭での洗濯でもいいのでは?と思いますが、本来なら水洗いできないものや汚れをしっかり落としきりたい時にウェットクリーニングに出します。
ウェットクリーニングとは「特殊な技術を用いた業者による繊維製品の水洗い処理」と規定されています。
【参照・詳細 】クリーニング業者に求められる新JIS取扱表示への対応 Vol.4(PDF)
水洗いのデメリットとしては水に弱い素材に大きなダメージを与えてしまうことです。
ウェットクリーニングと家庭洗濯との違いは「洗濯のプロが専用の洗剤を使ってダメージを極力抑えて洗う」ことです。
家で洗うと洗濯による型崩れや縮み、シワが元に戻らないことも少なからずあります。
それを、プロ専用の洗剤やプロ仕様のアイロン(プレス機)をかけることによってきれいに仕上げることができます。もちろん汚れもしっかり落とせます。
水洗いによって、色が抜ける、縮みや型崩れ、風合いが変わってしまうといったリスクを軽減するためにウェットクリーニングを利用するのです。
ウェットクリーニングはお店によって差が出やすい
実はプロでも難易度の高いのがウェットクリーニング。
技術に差が出やすいクリーニング方法でリスクと手間がかかるため、ウェットクリーニングに力を入れているお店もあればそうでないお店もあります。
クリーニング店ではドライクリーニングを中心に行っているところが多いです。
クリーニングの処理基準を設け、厚生労働省が認可している「クリーニング業に関する標準営業約款」というものがあります。
【参照・詳細 】クリーニング業に関する標準営業約款規定集
この基準はあくまで目安としてのもののため、クリーニング店でも仕上がりに差が出てきます。
洗濯物の素材や作り、汚れの状態などによって最適な洗濯方法は異なります。そして処理する設備や作業者の技量によっても仕上がりが変わります。
ウェットクリーニングは技術に差が出やすいため、高い技術のあるクリーニング業者を探しましょう。
クリーニング店を選ぶ時に目安となる「LDマーク」や「Sマーク」があります。厚生労働大臣の認可を受けた証で、一定の基準をクリアしており、トラブルがあったときの補償対応もあるので安心です。
【LDマーク】全国クリーニング生活衛生同業組合連合会に加入しているクリーニング店。「プロの洗い技術」で「質の高いサービスの提供」に努める。
【Sマーク】厚生労働大臣が認可した「クリーニング業の標準営業約款」に基づいて営業している店
ドライクリーニングとウェットクリーニングの使い分け
まずは洗濯表示をチェック
衣類には品質表示・洗濯表示のタグがついています。これにはメーカーが推奨するお手入れ方法が書かれています。必ず確認しましょう。
基本は推奨となっているクリーニング方法で対処します。
パークロロエチレン、石油系溶剤が使用できる。 通常のドライクリーニング。 | |
石油系溶剤が使用できる。 通常の処理。 | |
ドライクリーニングNG。 | |
通常のウェットクリーニング。 | |
ウェットクリーニングNG。 |
×がついているものはそのクリーニングでは洗わないほうがいいのですが、絶対にだめということではないので、クリーニング店に相談してみてください。対応してくれるかはお店次第ですが、聞くだけ聞いてみましょう。
どちらもOKなのであれば、できる限りダメージを抑えたい高価な服、長く着続けたい服、壊れたり取れやすい装飾品がついているものはウェットクリーニングがおすすめです。
落ちやすい汚れの種類が異なる
「何で洗うか」のほか、「どんな汚れが落ちやすいか」という点もウェットクリーニングとドライクリーニングで異なります。
【落ちやすい汚れの種類】
ドライクリーニング | 油溶性の汚れ食品の油(ドレッシング、カレー、チョコレートなど)化粧品(ファンデーション、口紅など) |
ウェットクリーニング | 水溶性の汚れジュースやコーヒー、汗、血液など。タバコのニオイなども消してくれる |
汗などの汚れは水溶性のため、ドライクリーニングではそこまで落とせません。
油性の汚れというのは一部分だけのことが多いですが、人の汗や皮脂は全体的に服についています。そのまま汚れが残り続けると、黄ばみやニオイの原因になります。
ドライクリーニングでは、目に見える汚れを落としたとしても、清潔な状態であるとは言い切れないのが難点です。
ドライクリーニングで使用する有機溶剤では水溶性の汚れが落ちにくいため、この汚れを落とすための方法としてウェットクリーニングが誕生したそうです。
油性と水溶性が混ざっている汚れがほとんどなので、水洗いした方が大半の汚れをしっかり落とせます。
ウェットクリーニングの方が、全体的な汚れをしっかり落とすことのできるクリーニング方法といえます。
普段クリーニングに出す水溶性の汚れがついているもの(飲食物の汚れや汗ジミなど)。
汗をたくさんかいた時に着ていたものは、ウェットクリーニングがおすすめです。
汗などの水溶性の汚れはドライクリーニングよりウェットクリーニングの方がしっかり落とせます。
今まではドライクリーニングでしか対応できないと思っていたものでも、クリーニング店によってはウェットクリーニングで対応してくるところもあります。
ウェットクリーニングの方がお値段高め
使用する洗剤や資材の調合があったり、水の影響で変形した服をアイロンがけで復元するなど、手間と時間がかかります。
そのためドライクリーニングより高い料金設定になっています。(プラス¥500〜¥1000ほど)
ちゃんとしたクリーニング店であれば、ドライクリーニング以上に良い仕上がりになって戻ってくるため、服によって使い分けていきましょう。
ドライクリーニングから戻ってきた服はすぐに着ない
ドライクリーニングで使用する溶剤は環境汚染の元になるため管理を徹底するように義務付けられています。そんな洗剤ですから、肌にもいいものとは言えません。
クリーニング後に服をきたら化学やけどを起こしたり、目が痛くなったり気持ち悪くなってしまうこともあるようです。
溶剤は徐々に揮発してなくなっていくのですが、クリーニングが終わってすぐに着ると残っている溶剤によってこのような症状が出ることがあります。
クリーニングから戻ってきたものは1日陰干しした後に着るようにしましょう。
なかなかクリーニング店に行く時間がない人や近場に良いクリーンング店が見つからない、という人は宅配クリーニングを検討するのも一つの手です。
ぜひこういったサービスを活用して、服をきれいに長持ちさせられるようお手入れしてください。