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三大合成繊維 アクリル・ナイロン・ポリエステル

2022/05/30

衣類の素材には合成繊維というものがあります。これは化学繊維とも言って、人工的に作り出した繊維のこと。

そんな合成繊維の中でも特に多く生産されている3つの合成繊維を三大合成繊維と言います。その3つとは、「ポリエステル」「アクリル」「ナイロン」です。

合成繊維とは

繊維は大きく分けると化学繊維と天然繊維に分けられます。
天然繊維は自然にあるものを使って繊維にしたもの、化学繊維は人工的に作り出した繊維のことです。

天然繊維より安価で安定的な供給ができるようにするために、化学繊維は作られてきました。

化学繊維はさらに分けられ、合成繊維・半合成繊維・再生繊維があります。そのうち大きく割合を占めるのは合成繊維。略して合繊とも言われます。

服の生地の半分以上は合成繊維からできています。避けようとしないと、気づいたら合成繊維製品を使っている、ということは少なくありません。

合成繊維の原料は主に石油。石油を原料とした化学合成物質から作られます。

日本での生産量No.1はポリエステル。次いでアクリル、ナイロンが多く生産されています。
参照 : 世界 主要繊維 生産量[種類別](万トン, 2016-2019)

共通の特徴

丈夫で伸縮性があるが、静電気がおきやすく、毛玉ができやすいというのが合成繊維の共通の特徴としてあげられます。

静電気がおきやすく毛玉ができやすい

水分を含まない合成繊維は静電気が起きやすいです。ロングヘアーの人は髪の毛との摩擦で静電気の影響を受けやすくなってしまうことも。

糸に工夫したり、後加工で静電気防止加工をされているものもあります。何も加工されていない場合にはそのような機能はないので、静電気が気になる時は加工されているかどうか確認してみましょう。

また静電気防止アイテムを利用したり、洗濯の際に柔軟剤を使うことで静電気防止になります。

素材の組み合わせによって静電気が起きやすくなるので、コーディネートにも気をつけておきたいところ。裏地がポリエステルのスカートにナイロンのストッキングだと静電気が起きやすくなります。

静電気が起きやすいと毛玉も発生しやすくなります。丈夫な繊維は強く切れにくく、毛玉ができるとしっかりと留まって取れづらいのも特徴です。

また敏感肌の方は合成繊維服を着ると、チクチクしたりするかもしれません。
ただ混紡の場合は感じることは少ないと思います。肌の弱い方は素材の割合にも注意してみてみてください。

こういったデメリットを軽減するために、コットンなど他の素材と組み合わせて使用されることも多いです。

カビや湿気に強く虫食いが少ないため保管しやすい

さまざまな化学物質への耐性や虫に食べられないといった面もあります。

服につく虫は、動物性繊維を好んで食べるため、ウールやシルクといった動物性の天然繊維は虫食いの被害にあいやすいです。

カビのイラスト

合成繊維はそういった虫害を受けにくいことも魅力です。
ただし、汚れがついたまま放置すると、その部分に虫が食いついてしまうことがあるので、お手入れは怠らないように。

繊維そのものに水分がほとんどなく吸水性が低いため、水や汗が生地についても吸い込まず蒸発します。こういった点からカビになりにくいことも特徴です。

ポリエステル

ポリエステルはファッションやインテリア、日用品など、生活の中のさまざまなアイテムに使われており、幅広く活用されている素材です。

他のものに比べて、原料が手に入りやすく生産が簡単なため低コストで生地を作ることができ、世界で最も多く生産されています。

「安価」というと、仕上がりも安っぽいイメージがあるかもしれませんが、「ポリエステルで作ったもの = 安っぽい」とはなりません。
ハイブランドのコレクションでも、耐久性や手入れのしやすさからポリエステルを使った上質なファッションを発表しています。

シルクのようななめらかさとツヤっぽさ、ドレープ性がポリエステルにはあり、高品質であれば本物のシルクのように見えるものもあります。
ジャケットやスーツ、スカートなどの裏地に使用されるほか、織り方によってはサテンやビロードのような高級生地の感じも出せるため、ドレスにも使われます。

染色性にも優れ、天然繊維のような風合いを出すこともできます。

ポリエステルには種類がある

「ポリエステル」という名前は、「合成の人工ポリマー」を短くしたもので、いくつか種類があります。

  • ポリエチレンテレフタレート(PET)
  • ポリブチレンテレフタレート(PBT)
  • ポリエチレンナフタレート(PEN)
  • ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)

もっとも私たちが目にするものはポリエチレンテレフタレート(PET)。ペットボトルの原料でもあります。
衣類に使われる繊維としてはほとんどPETが使われており、その他のものは繊維や生地としてはほぼ存在しません。

ポリエステルの特徴

合成繊維は糸の形状を変えたり、他の素材と組み合わせて違った性質を持たせることもできます。「機能剤」を入れてさまざまな機能を追加することもできます。同じポリエステル素材でも、特徴が異なることは大いにあります。

「どんな特徴を持ったポリエステルが使われているか」ということは、アイテムを買う時に確認しておきたいところですが、基本的なポリエステルの特徴はおさえておきましょう。

  • シワになりにくく形がつけやすい
  • 強度が高い
  • 紫外線に強い
  • 速乾性があるが吸水性・吸湿性が低い
  • なめらかな手触りと光沢

シワになりにくく耐久性・紫外線に強いため洗濯はしやすいです。ただし、逆汚染や汚れが落ちづらい、アイロンでテカリが出てしまうといったデメリットもあるので注意も必要です。

また「軽くて強度がある」という特徴から、スーツケースやバックなどの強度が必要で、軽さがほしいアイテムにもよく使われます。

速乾性があるが吸水性・吸湿性が低い

濡れても乾きが速く、スポーツウェアに使われることも多い素材です。

コットンのような天然素材と比べると吸湿性がとても低く、湿気がたまりやすいです。
身体から発する湿気や熱気が中にとどまるため、蒸れて暑く感じます。インナーや夏のアイテムを選ぶ時は、素材や機能をチェックしましょう。

ポリエステルが使われていたとしても、どのような機能を持っているのかを確認しておくことで失敗を防げます。

水分発散性の高いポリエステルも開発されているため、ひと口に悪いとは言えません。
この改良されたポリエステルが、スポーツウェアやレジャーウェアに使われています。

「汗を肌に吸着させる」という特性もあり、寒い時に役立ちますが、暑いと不快に感じてしまうことも。季節や着る場所を考えて選んでみてください。

火の近くは注意

可燃性のポリエステル100%は火の近くでは要注意。火が生地につくと燃え上がって溶けてしまうこともあります。
【参照】火を扱う仕事の作業着にポリエステル素材はNG? | ユニフォームタウン

アクリル

アクリルはウールに似せて作られた合成繊維。
柔らかい肌触りと保温性があり、軽くて丈夫です。ニット製品によく使われます。

ナイロン

ナイロンはシルクに似せて作られた合成繊維。シルクのような肌触りと光沢があり、断熱性に優れています。