ビスコースとは?レーヨン素材を詳しく知る
ビスコースは元々「人工シルク」として利用されていました。
その名前の通り、シルクのような質感、ドレープ感が特徴の素材です。
ビスコースはレーヨンの一種で、一般にレーヨンといわれるものはビスコース・レーヨンのことを示しています。
ビスコース=レーヨン?
ビスコースをちゃんと知るには、レーヨンのことも知る必要があります。
レーヨンという素材
レーヨンは木材パルプ(木のくず)が原料。
木材の中にあるセルロースを取り出して糸にします。
セルロースから再生されて作られる繊維の総称がレーヨンです。
セルロースについてはこちらの記事が参考になります。
シキボウ 繊維事業情報/素材ラインアップ/セルグリーン
レーヨンは、原料や製法の違いによってさらに細かく分けられます。
- ビスコース・レーヨン
- キュプラ
- ポリノジック
- リヨセル(テンセル)
レーヨンを作る中でもビスコース法で作られたものが「ビスコース・レーヨン」といわれるものです。
ビスコースの長所
シルクのような光沢があり、つるんとした肌触り、なめらかでさらりとした感触。
軽くて丈夫。
静電気を起こしにくい。
吸湿性・吸水性に優れている。
体にフィットしやすい。
染色・プリントしやすく、発色が良い。
色落ちしにくく、日焼けしにくい。
リッチな質感を活かして、ワンピース、スカート、ブラウスなどのエレガントスタイルの生地に使われます。
ビスコースの弱点
弱点は水に弱いこと。水シミができやすい。
濡れると長所である強度が半分ほど低下します。
水がついたまま放っておくとシミになる可能性があるので、ついてしまった場合はすぐに乾かしましょう。
摩擦にも弱いです。擦れると白くなったりします。
洗濯すると縮みやすく、シワになりやすいのも難点。
吸湿・吸水性に優れているのに、弱点が「水」なのです…
いい面とわるい面がバッティング…
長持ちさせるためには、汗をかきやすい場面や、直接素肌に着ることは避けた方がいいですね。
洗濯にも注意が必要です。
ビスコースの洗濯
ビスコースは水に弱いので、洗濯は「おまかせ」にしないように。
洗濯する際は洗濯ネットに入れて手洗いコースは必須。
もしくは、手洗い・ドライクリーニングにしましょう。
ゴシゴシこすったり、ギューっと絞るのもNG。
長時間水につけてしまうと縮む可能性が高くなるので、その前に洗濯を終わらせましょう。
数十秒程で素早く洗う、サッとすすいですぐに脱水して干す。
洗濯に気をつけることで長持ちするかどうかが変わってきます。
また、アイロンがけも注意。
シワになりやすいビスコースはアイロンがけしたくなります。
最大温度は160℃まで。中温(140〜160℃)の設定、またはスチームアイロンで。
当て布をしてアイロンをかけることで生地に直接アイロンの影響を与えずにすみます。
たたむとシワになりやすいので、保管はハンガーに吊るすのが良いです。
素材を知って長持ちさせる
ビスコースはシルクのような素材感が魅力的なのですが、シルクのようにデリケートに取り扱わなければ長持ちしない素材でもあります。
素材を知り、お気に入りの服を長持ちさせましょ。